【組織再編と許認可】

合併、会社分割等の組織再編手続きは会社法の知識さえあればどんなケースでも首尾よく完結できるのでしょうか。答えは否です。

例えば、一般旅客自動車運送業を営んでいる会社が消滅会社となる合併を行う場合、会社法上の手続きだけを行っても合併の効力は発生しません。もちろん登記も通りません。それは、道路運送法という法律があるためです。

同法 第36条第2項によると「一般旅客自動車運送事業者たる法人の合併及び分割は、国土交通大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」とあります。

つまり、合併の効力を発生させるためには国土交通大臣の認可を受ける必要があるということです。そして、当該認可書等は登記の添付書面としても必要となります。

このように組織再編に伴って認可等を受ける必要のあるものは他にもあります。

例えば、第二種貨物利用運送業、一般貨物自動車運送業、旅館業、ガス事業などです。

それぞれ、貨物利用運送事業法、貨物自動車運送事業法、旅館業法、ガス事業法に基づき、国土交通大臣、経済産業大臣の認可や都道府県知事の承認を受ける必要があります。

実務上、これらの認可等が必要な場合に大きく影響を与えるのは手続期間(スケジュール)です。どの法律に基づく手続きなのかによって若干変わりますが、例えば一般旅客自動車運送業の場合の標準処理期間(※1)は現在4ヶ月となっています。なお、この標準処理期間は本年(平成29年)の3月に公示があり、従来の3ヶ月から4ヶ月に改正されており、ますます手続きに時間がかかる構造となっております。

認可等が不要な場合の組織再編は、約2ヶ月の期間があれば実行できますが、認可等が必要な場合は、半年近くかかるケースもあります。(※2)

このように認可等の必要の有無によってスケジュールに与える影響はかなり大きいため、事前の入念な確認が必要となります。

合併期日間近になって、「実は認可等が必要なケースだと分かった。」では取り返しがつきませんので、留意が必要です。

※1 認可の申請から認可が出るまでの期間

※2 認可等申請の際に押印済の株主総会議事録等を求められることもあるため、その場合、認可等申請の時点で既に1ヶ月ほど経過していると想定されるため、単純に4ヶ月で実行することはできません。

 

【参照条文】

・道路運送法第36 条第 2 項

・貨物利用運送事業法第29条第2項

・貨物自動車運送事業法第30条第2項

・旅館業法第3条の2第1項                    (2017/7/13)

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