平成28年の暮れも押し迫った12月22日に、内閣府対日直接投資推進室から
「対日直接投資推進会議 規制・行政手続見直しワーキング・グループ緊急報告」がなされました。
この緊急報告の中に、私たち司法書士に直接関係のある事項があります。
例えば、法人登記手続について、会社の設立の際の定款認証手続など自然人の印鑑証明書の添付が必要な場合であって、提出すべき者が外国人のとき(※)には、本人の国籍国の公証人または日本における国籍国の領事が発行したサイン証明書が必要でした。
この場合、例えば香港在住のイギリス人などは、サイン証明書を取得するために、イギリスに帰国するか、来日する必要がありました。
(※当該外国人が日本に住所があり、自治体に印鑑登録をしている場合を除く)
平成28年6月の通達により、この要件が緩和され、本人の居住国における国籍国の領事が発行したサイン証明も使用できることになりました。先ほどのイギリス人の例で言うと在香港英国領事発行のサイン証明書が使用できることになります。
更に、国籍国の法制上の理由など真にやむを得ない事情から国籍国領事等がサイン証明書を発行できないときには、日本の公証人や、本人の居住国の公証人が発行するサイン証明書も許容されるなどの運用が開始されました(平成28年6月28日民事局長通達)。
私が経験した例をご紹介します。シンガポール居住のカナダ人の方が在シンガポールカナダ領事にサイン証明を発行して貰おうとしたところ、シンガポールにはカナダ領事がおらず、高等弁務官しかいませんでした。高等弁務官にはサイン証明発行権限がなかったので、仕方なくご本人には一度来日して頂き、一緒に在日カナダ大使館に出向きサイン証明の発行を受けました。
上記通達により、この件の場合は、シンガポールの公証人が発行するサイン証明書を用いることができる可能性がありますので、随分と登記手続がやり易くなることが想定されます。(2017/1/10)